エコ通信

2016.08.30 15:15

ECO通信 Vol.134 断熱について(その1)

断熱について考える前に、熱の伝わり方を少し復習しておきます。
熱の伝わり方には、以下の3種類あります。
  A伝導  B対流  C輻射
Aの伝導とは、固体(分子が自由に動けない)の状態で加熱された分子から隣の分子へと次々と伝わっていく現象のことを言います。
Bの対流とは、気体または液体(分子が動ける)の状態で加熱された分子が上昇(重力の外へ)し、冷えた分子が下降する現象のことを言います。
Cの輻射とは、真空(宇宙空間)でも気体や液体でも熱が電磁波となって伝わり分子を加熱する現象のことを言います。
このようにして、熱は物質の状態がどのような状態(真空・気体・液体・固体)でも伝わります。
   
断熱とは
伝導を抑えた材料で内外の温度差を保つ技術のことを断熱と言います。
一般的な断熱材は伝導と対流による熱の伝達を抑えることが出来る材料のことを言います。
断熱材で内外の温度差を保つには、内外の気密性能が必要になります。
高断熱にすればするほど高気密にしないと結露してしまいます。
なので世間で高気密高断熱と言われていますが、本当は高断熱高気密が正しい呼び方になります。
   
断熱のイメージ
①布団、寝袋、ダウンジャケット、防寒着など
断熱性能の優れた材料で包み体温を逃がさないように保温する。
②クーラーボックスなど
断熱性能の優れた材料で包み冷やした内部を暖めないように保冷する。
                                         
③魔法瓶、冷蔵庫など
真空を利用して対流を完全に抑え、熱橋を限界まで小さくし伝道を抑えて内部を保温・保冷する。
                           
建築的な発想では、室内を断熱材で包み込んで、内外の温度差を保つ技術になります。
   
断熱材の例
①布団、寝袋、ダウンジャケット、防寒着など
断熱素材は、綿・ウール・羽毛・ポリエステル繊維などの繊維系が多いです。
繊維系の建築断熱材として、グラスウール・ロックウール・セローズファイバーなどがあります。
グラスウールはガラス繊維、ロックウールは人造鉱物繊維、セルローズファイバーは紙などの木質繊維から成っています。
繊維を厚く重ねることで熱橋を小さくし、空気層も小さな層を幾重にも重ねることで断熱性能を発揮します。
基本的に厚みが断熱性能と比例します。
グラスウールは結露水や漏水に弱かったが、近年は撥水加工されていて欠点を補っています。
②クーラーボックスなど
断熱素材は、発砲スチロールなどの発泡樹脂系が多いです。
発泡樹脂系の建築断熱材として、ビーズ法ポリスチレンフォーム(発泡スチロール)・押出法ポリスチレンフォーム・ポリエチレンフォーム・硬質ウレタンフォーム・フェノールフォーム・吹付ウレタンフォーム(現場発泡)などがあります。
発砲樹脂は多くが石油系から成ります。
細かな発砲(空気層)を多く持たせることで熱橋を小さく、対流も抑えているので、より細かい発泡にすることで断熱性能を発揮します。
基本的に発砲の細かさで基本性能が決まり、厚みが断熱性能と比例します。
ECOかと問われると石油系ですので繊維よりはECOじゃないかもです。
しかし、施工・断熱性能の良さと強度に優れていて外断熱工法では良く使用されます。
③魔法瓶、冷蔵庫など
断熱素材は、真空ステンレスケース・ハイブリッド断熱材などの真空を利用した断熱構造体です。
真空系の建築断熱材として、真空断熱材が挙げられます。
真空断熱材は、グラスウールの心材をアルミ蒸着フィルムで被覆し、減圧することで真空化したハイブリッド断熱材のことです。
アルミ蒸着フィルムで輻射熱を遮断し、真空で対流も無くし、グラスウールの熱橋の伝導だけに絞り高断熱を実現している。
厚みを数ミリまで抑えてもグラスウール100ミリよりも高い断熱性能を発揮します。
欠点は釘などで穴が開くと真空が無くなり性能が低下することと加工(切断・折り曲げ)が困難などまだこれから克服しないといけないものがあります。
今回は、この辺で終了します。
つづきは、また次回書きますので、見てください。
   
  まゆまゆ 

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